「外国人労働者を受け入れるメリット・デメリットは?」
「そもそも外国人労働者はどのように雇用するの?」
このような疑問を抱えていませんか?
外国人労働者の受け入れには、人手不足の解消や外国人への対応力向上などのメリットがあります。一方で、在留資格の変更手続きの複雑さや価値観の相互理解の難しさなどのデメリットもあります。
本記事では、外国人労働者を受け入れるメリット・デメリットを詳しく解説します。良い面だけではなく、課題となる面もしっかり把握して、外国人雇用が自社に適切かどうかを判断していきましょう。
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日本における外国人労働者の受け入れ状況【2024年最新】
外国人労働者の受け入れは、年々増加傾向にあります。厚生労働省の2023年の調査によると、日本で働く外国人労働者は200万人を超え、過去と比べて右肩上がりで増加しています。
出典:厚生労働省|「外国人雇用状況」の届出状況まとめ
外国人雇用が増えた大きな理由のひとつは、少子高齢化の影響により、多くの業界で人材不足が深刻化しているからです。日本の企業は、人材不足を解消する方法として、外国人労働者の受け入れを積極的に進めています。
その一例が特定技能制度です。特定技能制度とは、一定の専門知識や技能をもつ外国人労働者を受け入れることを目的とした制度です。2023年には特定技能2号の対象業種が拡大され、より多くの業種で外国人材の受け入れが可能となりました。
このように、日本における外国人労働者の受け入れは、人材不足対策として今後も重要性を増していくと考えられます。
外国人労働者を受け入れる5つのメリット
まずは、外国人労働者を受け入れるメリットを5つ紹介します。
- 人手不足の解消につながる
- 訪日外国人への対応力が高まる
- 職場に活気がでて生産性が向上する
- 助成金制度を利用できる
- 海外事業の進展において即戦力となる
順番に見ていきましょう。
1.人手不足の解消につながる
外国人労働者の受け入れは、求職者の母数が広がるため、人手不足の解消につながります。
日本には全部で19種類の就労が認められている在留資格が存在し、外国人雇用の可能性が大きく広がっています。
たとえば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、「技術」「人文知識」「国際業務」の分野に関する知識や技術をもつ外国人の就労が認められている在留資格です。
このように外国人労働者の受け入れは、人手不足の解消とともに専門的なスキルをもつ即戦力の確保も期待できます。
2.訪日外国人への対応力が高まる
外国語が堪能な外国人の採用で、訪日外国人への対応力が高まります。観光業やサービス業では、外国人観光客のニーズに的確に応えられ、顧客満足度の向上が期待できます。
訪日外国人を新たな顧客層として開拓すれば、売上増加や市場拡大も見込めるでしょう。
3.職場に活気がでて生産性が向上する
日本で働く外国人の年齢層は、20代~30代中盤が中心になります。特に地方では職場が高齢化して、生産性が低下している職場もあります。
そこに、若い労働力が加われば活気が生まれ、さらに賑やかな雰囲気になることで、既存の日本人スタッフにも良い影響を与えるでしょう。
4.助成金制度を利用できる
外国人労働者を雇用すると、以下のような助成金制度を活用できます。
助成金 | 内容 |
---|---|
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース) | 外国人に配慮した就労環境を整備するための経費を支援するためのお金 |
雇用調整助成金 | 雇用維持のための休業・教育訓練費を支援するためのお金 |
キャリアアップ助成金 | キャリアアップを促進するための取り組みを支援するためのお金 |
人材開発支援助成金(人材育成支援コース) | 労働者に専門的な知識や技能習得の訓練費を支援するためのお金 |
助成金を活用すると、外国人労働者の環境整備や訓練にかかるコストを抑え、企業の経済的負担を軽減できます。外国人労働者の職場定着率向上や能力開発に活用できるため、雇用の安定化にもつながるでしょう。
以下の記事で、外国人雇用で利用できる助成金について詳しく解説しています。助成金の種類や要件を知りたい方は、ぜひご覧ください。
5.海外事業の進展において即戦力となる
海外展開を視野に入れている企業にとって、外国人労働者の存在は大きな強みです。外国人は、母国の言語・文化に精通しており、現地市場の理解やビジネス展開が円滑に進められるからです。
外国人労働者の採用は、企業のグローバル化を促進し、海外市場へのスムーズな展開が期待できるでしょう。
外国人労働者を受け入れる5つのデメリット
次に外国人労働者を受け入れるデメリットを5つ見ていきましょう。
- 文化や価値観の違いでトラブルを招く可能性がある
- 意思疎通ができない場合がある
- 受け入れまでに時間がかかる
- 外国人雇用の手続きを覚える必要がある
- 支援体制が整っていないと早期離職につながる
それぞれ詳しく解説します。
1.文化や価値観の違いでトラブルを招く可能性がある
外国人労働者を受け入れれば、文化や価値観の違いからトラブルを招く可能性があります。
たとえば、日本は仕事中心の生活を送る傾向があり、残業が発生する機会が多々あります。一方で、家族やプライベートの時間を大切にする文化がある海外の国では、自分の仕事が終われば帰宅する人が多いです。
このような文化をもつ外国人労働者に残業を要請した場合、非協力的な態度を示すケースも珍しくありません。結果として残業代を巡るトラブルが発生したり、人間関係が悪化したりといったトラブルに発展する可能性もあります。
トラブルを未然に防ぐためには、お互いの文化や価値観をうまく理解し尊重し合う姿勢が大切です。
2.意思疎通ができない場合がある
日本語能力のレベルが乏しい外国人労働者を受け入れると、意思疎通がスムーズにいかない可能性があります。コミュニケーションが円滑にとれないと、以下のような問題が起こりやすいです。
- 仕事の効率が低下する
- 情報の伝達ミスが発生する
- 安全上の注意事項が伝わらず事故や怪我につながる
コミュニケーションの問題は、業務効率だけでなく、安全面にも大きな影響を及ぼす重要な課題です。必要であれば、外国人労働者が日本語を学習できる環境の整備も視野に入れると良いでしょう。
3.受け入れまでに時間がかかる
外国人労働者を受け入れ、就労が開始するまでには時間がかかります。外国人を雇用する場合、以下のような手続きや対応に時間を要するからです。
出典:出入国在留管理庁|在留審査処理期間(日数)
入社してほしい時期が明確になっている場合、手続きにかかる時間を逆算して雇用の準備を進めていく必要があります。
4.外国人雇用の手続きを覚える必要がある
外国人労働者を雇用する際には、以下の日本人の採用とは異なる手続きが必要です。
- 在留資格の変更
- 在留資格の更新
- 在留カードの有効期間更新申請
このような手続きを自社で進めるのは時間と労力がかかり、大きな負担となります。外国人労働者の採用や管理に関する法改正も頻繁におこなわれるため、制度変更のたびに対応するのも大変です。
自社だけで対応するのが難しい場合は、申請取次行政書士に手続きを委託する選択肢もあります。
申請取次行政書士とは、外国人のビザや在留資格の手続きを代理できる行政書士です。専門家に任せれば、書類の不備や漏れを防ぎ、スムーズかつ正確に手続きを進められます。
5.支援体制が整っていないと早期離職につながる
外国人労働者への支援体制が不十分な場合、早期離職につながる可能性があります。支援体制が整っていないと、外国人労働者の不安や不満が高まりやすくなるからです。
たとえば以下のような状況は、外国人労働者が早期離職しやすい環境といえます。
- 日本語学習支援が不足している
- 母国語や英語で相談できる窓口がない
- 役所や銀行での手続きのサポートがない
長く働き続けてほしいなら、外国人が安心して働ける環境を整備していく取り組みが必要です。
なお、特定技能1号の外国人労働者に関しては、就労面に加え生活面を含めた支援が義務化されています。
自社で支援体制を整えるのが難しい場合は、登録支援機関への依頼を検討してみましょう。登録支援機関は受け入れ企業の委託を受けて、特定技能1号の外国人労働者の就労を支援するための機関です。
委託すれば、法律で定められている「支援計画書の作成」や「支援の実施」を代行してもらえます。
外国人労働者の受け入れにともなう3つの問題
外国人労働者の受け入れにともなう3つの問題を紹介します。
- 日本人従業員から差別を受けてしまう
- 長時間労働・低賃金で雇用されてしまう
- 外国人雇用における法的リスクが増える
外国人労働者を受け入れる際は、起こりうる問題を事前に払拭しておきましょう。
1.日本人従業員から差別を受けてしまう
外国人労働者が日本の職場で差別を受ける事例もあります。たとえば、以下のような事例があります。
- 言語や文化に関する陰口を言われる
- 仕事の割り振りが不公平である
- 意見や提案が軽視される
差別行為は人権侵害にあたるため、絶対に許されません。外国人労働者を受け入れる企業は、人権や異文化への理解を深めて、差別のない平等な職場体制を整備する必要があります。
2.長時間労働・低賃金で雇用されてしまう
一部の企業では、外国人労働者に対する長時間労働や低賃金雇用が見られます。しかし、外国人労働者も日本の労働基準法で保護されており、適切な労働時間や賃金、休憩が保障されています。
また、日本には「同一労働同一賃金」の決まりがあり、同じ仕事をしていればどの立場の従業員にも同じ賃金を支払うのが義務です。企業は、外国人労働者であっても日本人と同等の条件で雇用し、差別のない公正な労働環境を提供しなければなりません。
参考:厚生労働省|同一労働同一賃金特集ページ
3.外国人雇用における法的リスクが増える
外国人労働者を受け入れると、法的なリスクが増える可能性があります。外国人雇用における法的リスクには、たとえば以下のようなものがあります。
- オーバーステイ
- 労働基準法違反
- ハラスメントや差別の訴訟
日本の雇用制度にはない「オーバーステイ」とは、外国人が在留資格で定められた期間を超えて日本に滞在する状態を指します。事業主がオーバーステイ状態にある外国人を知らずに雇用してしまった場合でも、不法就労助長罪に該当し処罰を受ける対象です。
外国人労働者を受け入れる場合は、外国人雇用における法律を覚えて、適切な手続きや対応を進めていきましょう。
外国人労働者を受け入れる方法【7Step】
ここでは、外国人労働者をスムーズに受け入れるための基本的な流れを7つのステップで解説します。
- 求人募集
- 選考
- 内定
- 労働契約の締結
- 在留資格申請・変更
- 入社準備
- 雇用開始
まず、ハローワークや転職エージェントを通じて求人を募集できます。
応募してきた候補者の選考をおこない、採用が決まったら、正式な労働契約を締結します。契約書は英語や相手の母国語でも用意しましょう。理解できる言語で作成すれば、確実に契約内容を伝えられ、後々のトラブルを防げます。
内定が決まったら、日本で就労するための在留資格の変更や更新をおこないます。入社に向けて、住居の手配や銀行口座・保険手続きといった各種手続きのサポートも実施しましょう。
くりかえしですが、特定技能1号の外国人を雇用する企業は、就労や生活に関するサポートが義務化されています。
必要な手続きや受け入れの環境整備が整ったら、雇用開始となります。
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外国人労働者を受け入れるメリット・デメリットを知ったうえで雇用を進めよう
外国人労働者の受け入れは、異文化トラブルの発生や外国人雇用特有の手続きの煩雑さなど企業側の負担となるデメリットがあります。しかし、人手不足の解消や新しいアイディアの創出など、企業の発展や成長に貢献するメリットも多いです。
デメリットにあげられる手続きの負担は、申請取次行政書士や登録支援機関といった外部に委託することも可能です。
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監修者プロフィール
- 外食業に特化した求人媒体を運営する人材支援事業会社にて、約20年間に渡り首都圏版メディアの立ち上げや事業責任者として従事。専門学校・短大にて就職セミナー講師としても20校以上の活動経験あり。2019年に特定技能制度の施行開始にあたり、登録支援機関の立ち上げとして「日本料飲外国人雇用協会」に参画。現在は理事 兼 事務局長として活動を所掌している。
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