「不法滞在の外国人を雇用したくないけど、見分け方のポイントは?」
「万が一不法滞在の外国人を採用したらどうなるの?」
このような疑問をおもちの方もいるのではないでしょうか?
国内での不法滞在者数は年々増えており、見分け方の鍵となるのは在留カードです。しかし、在留カードのどこを見て不法滞在と判断すべきかわからない方は少なくありません。
本記事では「不法滞在者の見分け方」を2つのポイントにわけて解説します。彼らがなぜ帰らないのかや、不法滞在者を雇用してしまった場合の罰則なども、一緒に確認していきましょう。
具体的に在留カードの確認すべき点も解説するので、外国人を採用する機会がある方は参考にしてください。 なお、「不法滞在(オーバーステイ)」そのもの解説は下記の記事でしているので、基礎から知りたい方はぜひご覧ください。

不法滞在者の見分け方【見るべきポイントは2つ】

以下の2項目をチェックすれば、不法滞在者かどうかを把握しやすくなります。
- 在留カードの記載内容を確認する
- 偽造の在留カードではないかを確認する
順番に解説します。
在留カードの記載内容を確認する
外国人が面接に来た際には、在留カードを提出してもらいましょう。
最初に確認すべきは、在留期間の有効期限です。

カードに記載された在留期間満了日を過ぎている状態で滞在を続けている場合は、不法滞在(オーバーステイ)として扱われます。
また、在留資格と実際の活動内容が一致しているかも確認するようにしてください。
たとえば、「技能実習」の資格をもつ場合、特定の業種での就労が求められます。資格と業務内容が合わない場合、不適切な雇用と判断される可能性があります。
参考:「在留カードとは?」|出入国在留管理庁
偽造の在留カードではないかを確認する
偽造の在留カードを保持している外国人は不法滞在者となります。
在留カードを見た際に以下のような違和感を覚えた場合は、偽造の可能性が高いです。
- 顔写真下にある銀色のホログラムが、見る角度を90度変えても文字の白黒が反転しない
- カードを左右に傾けても「MOJ」の文字ホログラムが立体的に左右へ動かない
- カードを上下に傾けたとき、カード左端部分がピンク色に変わらない
- カードを傾けても「MOJ」文字周囲の模様がピンクから緑に変化しない
参考:「在留カード」及び 「特別永住者証明書」の見方|厚生労働省
また、パソコンやスマートフォンで公式アプリ「在留カード等読取アプリケーション」をダウンロードすればICチップ情報を読み取りができます。アプリを使って券面の記載と一致するかを確認するのも有効な手段です。
また、出入国在留管理庁が提供する「在留カード等番号失効情報照会」でも、提示されたカード番号が失効扱いになっていないかを調べられます。こうした複数の方法を組み合わせると、偽造カードを誤って承認してしまうリスクを減らせます。
不法滞在した外国人はどうなる?


不法滞在者が警察や入管当局に発見されると、入管施設に収容され、審査のうえ退去強制令書が発付されます。
たとえば、不法滞在者が日本で生命にかかわる治療を受けている場合のような、特別な事情がある場合は「在留特別許可」を与えられる可能性があります。しかし、許可は極めて限定的です。



強制送還が執行されれば、原則5年間は日本への再入国が禁止されます。
もし自主的に出頭した場合は再入国禁止期間が1年に短縮されますが、日本で働きたい外国人にとっては大きな制約となるでしょう。
【なぜ?】不法滞在者が帰らない主な3つの理由


不法滞在者が帰国を拒む代表的な理由は、以下の3つのとおりです。
- 難民申請が通らないから
- 失踪中でペナルティから逃れるため
- 在留資格を失ってしまったから
これらの問題は日本全体で考え改善すべき問題ともいえます。それぞれ、どのような理由なのかを解説します。
難民申請が通らないから
難民申請が通らないことも、不法滞在の一因です。日本は先進国の中でも難民認定率が低く、国際基準と比較しても審査基準が厳しいです。
紛争地域や迫害の危険がある国からの避難民であっても、申請がスムーズに通るとは限りません。 その結果、情勢の改善がみられない母国への強制送還をおそれ、不法滞在者として日本に留まらざるを得ない状況に追い込まれています。
また、難民申請中は強制送還が一時的に停止されます。この制度を利用して滞在を延長する事例も見られ、結果的に長期の非正規滞在につながるケースが多いです。
失踪中でペナルティから逃れるため
一部の企業では、外国人労働者に対し、低賃金や長時間労働に加え、暴言や暴力といった不当な扱いをおこなうケースがあります。



こうした過酷な労働環境に耐えきれず、職場から失踪してしまう外国人労働者も少なくありません。
しかし、失踪すると在留資格に基づく就労が認められない状態となり、不法滞在と見なされる可能性があります。 失踪が入管当局に発見された場合は、不法滞在者として以下のようなペナルティを受ける可能性が高いです。
- 罰金
- 強制退去処分
- 日本への再入国禁止措置
入管法違反として強制送還や入国禁止などの厳しいペナルティをおそれて自主的に出頭できなくなり、さらに長期の不法滞在につながる悪循環に陥る場合もあります。
在留資格を失ってしまったから
在留資格をもっていても何らかの事情で更新できなかったり、失ったりした場合も、不法滞在として扱われます。
たとえば、外国人が在留資格を失ってしまう理由としては以下のようなケースが多いです。
- 更新手続きはしたものの更新の許可が下りなかった
- 職種に応じた学歴や専門技能など厳しい条件を満たせなかった
- 在留資格の有効期限が経過したまま更新手続きを忘れてしまった
- 転職にともなって在留資格の変更申請をしたが許可が降りなかった
すでに就労に関する在留資格を得ていても、更新や変更を申請するのが妥当と認められる理由がなければ在留資格を失ってしまいます。
日本での在留資格は、出入国管理法に基づき厳格に管理されています。雇用前には、どんな規制があるかの確認が望ましいです。




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不法滞在の外国人をかくまう企業側のリスク


不法滞在者を雇用した企業側は、たとえ故意でなくても「不法就労助長罪」に問われる可能性があります。 具体的には、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されるため、不法滞在者の雇用判明は企業にとっても大きな損失です。
参考:不法就労に当たる外国人を雇い入れないようにお願いします。|厚生労働省
また、外国人労働者受け入れ制度を一定期間利用できなくなる懲戒措置も課される場合もあります。
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不法滞在に関するよくある質問


最後に、不法滞在に関するよくある質問と回答をQ&A形式でまとめました。
不法残留と不法滞在の違いは?
不法残留と不法滞在は法的に異なる概念です。
不法残留(オーバーステイ)は、正規に入国し在留期間を有していた外国人が、在留して良い期限を超過して滞在し続ける状態を指します。
一方、不法滞在はより広義の概念で、不法残留に加え、不法入国者や上陸許可を受けずに入国した者も含まれます。
すべての不法残留者は不法滞在者ですが、すべての不法滞在者が不法残留者(オーバーステイ)ではありません。
不法滞在者を通報すると5万円もらえるの?
不法滞在者を通報して退去強制となった場合、法務省から1,000円以上~5万円以下の報償金を支払われる可能性があります。
具体的な金額は事案ごとに決定されますが、公務員が職務上知り得た情報で通報した場合は対象になりません。
日本には不法滞在者はどれくらいの人数がいるの?
令和6年7月1日現在、日本における不法残留者数は77,935人と公表されており、令和4年7月1日から19,624人も増えました。
国籍別ではベトナムが最も多く15,351人で、全体の約19.7%を占めています。
続いてタイ、韓国、中国、フィリピンといったアジア地域の国々が上位を占めており、全体の約79.0%が東南アジアです。
参考:本邦における不法残留者数について(令和6年7月1日現在) | 出入国在留管理
不法滞在者の見分け方を理解して在留資格をもつ外国人を雇用しよう


不法滞在者を雇わないためには、在留カードの所持だけでなく、偽造ではないかのチェックも欠かせません。
外国人労働者の採用時は在留カードの提示を求め、本記事で紹介したポイントを確認しましょう。見た目だけではなく、ICチップやウェブ照会システムなど複数の方法で確認すると高い精度で見分けられます。
とはいえ「不法滞在者を100%見抜ける自信がない……」と思う方が多いでしょう。このようにお悩みの際は、ぜひお気軽に「日本料飲外国人雇用協会」にご相談ください。
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監修者プロフィール


- 一般社団法人 日本料飲外国人雇用協会 理事 兼 事務局長
- 外食業に特化した求人媒体を運営する人材支援事業会社にて、約20年間に渡り首都圏版メディアの立ち上げや事業責任者として従事。専門学校・短大にて就職セミナー講師としても20校以上の活動経験あり。2019年に特定技能制度の施行開始にあたり、登録支援機関の立ち上げとして「日本料飲外国人雇用協会」に参画。現在は理事 兼 事務局長として活動を所掌している。
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