「外国人労働者の扶養控除はどうするのだろう?」
「どこまで扶養控除の対象になるの?」
と疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか?
外国人労働者の扶養控除は2023年から厳格化され、従来より国外に居住している親族の扶養対象が限定されるようになりました。
本記事では、外国人労働者の扶養控除の対象や申請方法について解説しています。国外扶養親族の適用を受ける際に必要な書類についても解説していますので、理解を深めたい方は最後までご覧ください。
外国人労働者も扶養控除の対象となるのか?

日本に在住・就労している外国人で納税義務者に該当する方は、条件を満たせば扶養控除が受けられます。
納税義務者に該当する外国人の条件は以下の通りです。
- 日本国内で働いて得た収入がある(原則、所得税を納める必要がある)
- 1月1日現在で日本に住所がある(住民税を納める必要がある)
親族を扶養している場合で、扶養されている方の合計所得金額が48万円以下であるなど一定の条件を満たす場合には、所得控除の対象です。扶養親族が外国に住所がある方は「非居住者」に該当し、親族であることが分かる書類を添付して申請すれば扶養控除を受けられます。

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外国人労働者が扶養控除を申請する方法

会社員の場合は、年末調整によって扶養控除を申請します。
年末調整で扶養控除を申請する場合には、勤務先に「扶養控除等(異動)申告書」を提出します。「扶養控除等(異動)申告書」は、年末調整の時期になると会社から配布されるので、該当欄に記入して提出しましょう。

もし、年末調整で申請し忘れた場合には、確定申告でも扶養控除を申請することが可能です。
確定申告の場合には、確定申告書の第一表と第二表の該当欄に記入します。
【国外扶養親族】2023年から外国人労働者の扶養控除が厳格化


外国人労働者の扶養控除において、日本国内に住所を有しない非居住者の親族も扶養控除の対象になります。
しかし、2023年(令和5年)より国外にいる扶養親族への扶養控除が厳格化されました。
これまでは16歳以上の方がすべて対象でしたが、以下の対象者に限定されます。
- 年齢が16歳以上30歳未満
- 年齢が70歳以上
さらに、30歳以上70歳未満の方は、以下のいずれかの条件に該当する方が扶養控除の対象です。
- 留学により国内に住所及び居所を有しなくなった方
- 障害のある方
- その居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている方



条件が厳格化されたことにより、扶養控除の適用を受けるために提出する書類も追加されます。
必要書類については、この後詳しく解説します。
外国人労働者の扶養控除が厳格化された背景


外国人労働者の扶養控除が厳格化された背景には、日本と他国の生活水準の違いがあります。
日本では合計所得金額が48万円以下であると自立した生活を送るのは困難ですが、他国では48万円以下でも生活できる国もあります。
たとえば、日本で働く方が増えているベトナムの2022年度の平均月収は660万ドン(約3万8,280円)です。
そこから平均年収を割り出すと7920万ドンになり、日本円に換算すると約45万円です。
ベトナムのように他国では所得が48万円以下でも生活に困らずに暮らしていける国があります。
このような背景から、働く年代とされる30歳以上70歳未満は控除の対象外となったと考えられます。
しかし、働けない方の条件として、留学生や障害のある方、38万円以上の送金が必要な方は控除対象としています。
国外扶養親族の適用を受ける際に必要な書類


扶養控除の申請に必要な書類は以下のとおりです。
非居住者である親族の年齢等の区分 | 扶養控除等申告書の提出時に必要な書類 | 年末調整時に必要な書類 |
---|---|---|
16歳以上30歳未満又は70歳以上 | 親族関係書類 | 送金関係書類 |
①留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者 | 「親族関係書類」及び「留学ビザ等書類」 | 送金関係書類 |
②障害者 | 親族関係書類 | 送金関係書類 |
③ 所得者からその年において生活 費又は教育費に充てるための支払 を38 万円以上受けている人 | 親族関係書類 | 38万円送金書類 |
上記①~③以外 | (扶養控除の対象外) |
それぞれ必要な書類について解説していきます。
親族関係書類|実の家族であると証明する書類
親族関係書類とは、国外居住親族が居住者の親族であることを証明する書類です。具体的には以下の書類が該当します。
- 戸籍の附票の写しなど日本国又は地方公共団体が発行した書類及び非居住者である親族の旅券(パスポート)の写し
- 外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(非居住者である親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるもの)



これらの書類が外国語で記されている場合には、日本語に翻訳された書類も必要です。
また、1つの書類だけで居住者との親族関係を明確に示せない場合は、複数の書類を組み合わせて証明します。
留学ビザ等書類|留学生であることを証明する書類
留学ビザ等書類とは、外国政府または外国の地方公共団体が発行した書類で、国外に住んでいる親族が留学のためにその国に滞在していることを証明するものです。具体的には以下の書類が該当します。
- 外国における査証(ビザ)に類する書類の写し
- 外国における在留カードに相当する書類の写し
書類を提出する場合には、日本語の翻訳文も必要になります。
送金関係書類|仕送りをしている事実を証明する書類
「送金関係書類」とは、その年において国外に住む親族(非居住者である親族)それぞれの生活費または教育費に充てるための支払いをおこなったことを証明するための書類です。具体的には以下の書類を提出します。
- 金融機関が発行した書類またはその写し金融機関が発行した書類又はその写し
- クレジットカード発行会社が発行した書類又はその写し
- 電子決済手段等取引業者(電子決済手段を発行する一定の銀行等又は資金移動業者を含む。)の書類又はその写し
また、38万円送金書類は、非居住者である親族各人へのその年における支払の金額の合計額が38万円以上であることを証明する書類のことです。
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外国人労働者の扶養控除における仕組みを知って年末調整に備えよう


日本に在住して働いている外国人で納税義務者に該当する場合には、扶養控除を申請できます。扶養控除を受けたい場合には、会社員の場合は年末調整で行い、年末調整で忘れた場合には確定申告で申請が可能です。
2023年(令和5年)から国外扶養親族に対する扶養控除の条件が厳格化され、提出する書類が増えました。本記事で紹介した、対象者の条件や必要書類を参考にして外国人労働者の扶養控除の申請をしてみてください。
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監修者プロフィール


- 一般社団法人 日本料飲外国人雇用協会 理事 兼 事務局長
- 外食業に特化した求人媒体を運営する人材支援事業会社にて、約20年間に渡り首都圏版メディアの立ち上げや事業責任者として従事。専門学校・短大にて就職セミナー講師としても20校以上の活動経験あり。2019年に特定技能制度の施行開始にあたり、登録支援機関の立ち上げとして「日本料飲外国人雇用協会」に参画。現在は理事 兼 事務局長として活動を所掌している。
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