「特定技能の業種拡大はいつから始まった?」
「特定技能の1号と2号の違いはなに?」
このような疑問を抱えていませんか?
2023年6月9日の閣議決定により、特定技能2号の対象分野に新たに9つの分野が追加されました。業種拡大により、外国人雇用がより身近なものとなったのです。
特定技能の外国人雇用を検討中の企業は、外国人がどんな分野で活躍できるかを把握しておく必要があります。
本記事では、特定技能2号の業種拡大がいつからなのか詳しく解説します。1号と2号の違いや特定技能2号の取得方法も紹介しているので、参考にしてみてください。
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【予備知識】特定技能とは?
特定技能とは、日本国内の労働力不足を補うため、人手不足が深刻な16の分野において外国人の就労を認める在留資格です。
・介護・ビルクリーニング・工業製品製造業・建設
・造船・舶用工業・自動車整備・宿泊・農業
・航空・漁業・飲食料品製造・外食・自動車運送・林業・木業産業・鉄道
特定技能は幅広い職種に従事できるのが特徴です。「技術・人文知識・国際業務」や「教育」などの在留資格は、外国人の学歴と業務内容の関連性がある職種でなければ就労できません。
特定技能は、ビルの清掃や飲食店の調理・接客といった単純労働の分野での就労が認められています。これにより、外国人の雇用の枠も大幅に広がりました。
特定技能には1号と2号の2種類があります。それぞれの違いについては、後ほど詳しく解説します。
特定技能2号の業種拡大はいつから?
特定技能の業種拡大の時期について、以下2つのトピックスをもとに解説します。
- 特定技能2号は2023年より新たに9分野が追加
- 特定技能1号は2024年より新たに4分野が追加
順番に見ていきましょう。
特定技能2号は2023年より新たに9分野が追加
従来、特定技能2号は「建設」と「造船・舶用工業(溶接区分のみ)」の2分野のみでした。2023年6月9日の閣議決定により、以下の9分野が新たに追加されました。
ビルクリーニング | 工業製品製造業 | 自動車整備 |
航空 | 宿泊 | 農業 |
漁業 | 飲食料品製造業 | 外食 |
加えて、造船・舶用工業の溶接区分以外の業務も特定技能2号の対象となりました。これにより、特定技能1号で定められた12分野のうち、介護を除く全ての分野で特定技能2号での受け入れが可能となります。
介護については、既存の在留資格「介護」があるため、特定技能2号の対象外とされています。
出典:特定技能2号の対象分野の追加について|出入国在留管理庁
特定技能1号は2024年より新たに4分野が追加
2024年3月29日の閣議決定により、特定技能1号の対象分野が新たに4分野追加されました。
自動車運送業 | 鉄道 |
林業 | 木材産業 |
既存の分野でも、いくつかの改定がおこなわれました。たとえば、造船・舶用工業では業務の範囲が拡大され、飲食料品製造業ではスーパーマーケットの惣菜製造も認められています。
出典:特定技能の受入れ見込数の再設定及び対象分野等の追加について|出入国在留管理庁
特定技能1号と2号の違い【チェック項目は5つ】
1号と2号の違いを簡潔にまとめると、求められる技能水準の高さや従事できる業務の幅です。1号は比較的簡単な業務を担当するのに対して、2号は専門的で高度な技能を必要とする業務に従事します。
それぞれの在留資格には、異なる特徴や条件があります。代表的な5つの違いを、以下の表にまとめました。
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
在留期間の長さ | ・最大5年まで ・1年を超えない範囲で法務大臣が個々の外国人について指定する期間ごとの更新 | ・無期限 ・3年、1年または6ヵ月ごとの更新 |
技能水準の高さ | 相当程度の知識または経験を必要とする技能 | 熟練した技能 |
日本語能力のレベル | 生活や業務に必要な日本語能力を試験で確認 | 試験での確認不要 ※一部の分野でJLPTN3以上取得者 |
家族帯同の可否 | 基本的に認めない | 要件を満たせば可能(配偶者、子) |
支援の有無 | 支援あり | 支援なし |
出典:特定技能ガイドブック|出入国在留管理庁
外国人を雇用する際には、この違いをしっかり理解しておく必要があります。順番に見ていきましょう。
1.在留期間の長さ
特定技能1号と2号には、在留期間の長さと更新するタイミングに違いがあります。
在留資格 | 在留期間 | 更新するタイミング |
---|---|---|
特定技能1号 | 最大5年 | 法務大臣が個々の外国人ごとに指定(4ヵ月、6ヵ月、1年) |
特定技能2号 | 無期限 | 3年、1年または6ヵ月ごと |
特定技能1号の在留期間は最長5年までで、指定された期間満了前に更新手続きをおこなう必要があります。一方、特定技能2号は更新すれば在留期間は無期限です。特定技能2号の外国人は長期間安定して就労できるメリットがあります。
2.技能水準の高さ
特定技能2号は、特定技能1号よりも高いレベルの技能水準が求められています。建築分野1号・2号の要件を例に、技術水準の違いを見てみましょう。
在留資格 | 求められる技術水準 |
---|---|
特定技能1号 | 図面を読み取り、指導者の指示・監督を受けながら、適切かつ安全に作業をおこなうための技能や安全に対する理解力等を有する |
特定技能2号 | 建設現場において複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての実務経験がある |
出典:「建設分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」に係る運用要領|出入国在留管理庁
特定技能2号は、基本的な業務の遂行に加え、周りに指示や指導がおこなえるほどの高い技能が求められます。
熟練した技能をもつので、企業の即戦力として活躍が期待できる人材といえます。
3.日本語能力のレベル
特定技能で働く外国人は、日常生活や業務に差し支えのない一定水準の日本語能力が求められます。
特定技能1号の場合、日本語レベルの確認を目的とした日本語能力試験の受験が必須です。2号の方は、すでに一定の日本語能力があると認められているため、一部の分野を除き試験による確認は免除されます。
4.家族帯同の可否
特定技能1号の外国人は、基本的に日本への家族帯同は認められません。
対して特定技能2号の外国人は、家族帯同が可能です。配偶者や子どもは「家族滞在」の在留資格を取得する権利が与えられ、一緒に生活ができます。
5.支援の有無
特定技能1号には、外国人が業務を円滑に進められるように支援が義務付けられています。具体的には、雇用する企業が支援計画を策定して、外国人が働きやすい体制を整えます。
支援計画の作成は登録支援機関に委託することも可能です。作成した支援計画は出入国管理局に提出しますが、内容に不備があると申請許可が下りません。専門知識をもつ登録支援機関に依頼すると、申請が通りやすくなります。
特定技能2号は支援対象外のため、企業側のコスト負担軽減につながります。
【3ステップ】特定技能2号の在留資格を取得する流れ
特定技能2号の在留資格は、特定技能1号で一定の実績を積んだ外国人が、より高度な業務に従事するために取得するものです。特定技能2号の在留資格を取得する流れは、以下の3ステップです。
- 特定技能1号の在留資格を取得する
- 特定技能2号の試験に合格する
- 企業と雇用契約を結び特定技能2号の在留資格を取得する
順番に見ていきましょう。
1.特定技能1号の在留資格を取得する
特定技能1号の在留資格を取得する方法は、以下2つのパターンです。
- 技能実習を経て特定技能1号に移行する
- 特定技能1号の試験に合格する
2027年に施行される「育成就労制度」の導入にともない、技能実習は「育成就労」という名称に変わります。
育成就労制度は外国人労働者の人材確保が目的なので、労働力不足の解消が期待されています。
2.特定技能2号の試験に合格する
特定技能2号の在留資格を取得するには、試験に合格しなければなりません。
試験は既存のもの以外にも、各分野で新たに設けられているものがあります。試験に合格するには、作業者の指揮・命令・管理に関する実務経験といった一定の要件も求められます。
3.企業と雇用契約を結び特定技能2号の在留資格を取得する
企業と雇用契約を結んだ後、必要な書類を準備し、入国管理局で在留資格を申請します。
在留資格の申請は原則外国人本人がおこないますが、専門家への依頼も可能です。外国人のビザや在留資格の申請手続きを代理できる申請取次行政書士に依頼すれば、申請がスムーズに進みます。在留資格取得のノウハウもあるので、申請許可がもらえる可能性が上がります。
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特定技能2号の業種拡大に関するよくある質問
特定技能2号の業種拡大に関するよくある質問をまとめました。
特定技能2号の新分野である外食や宿泊などの受け入れ開始はいつからですか?
特定技能2号の新分野は、2023年6月9日の閣議決定により拡大されました。外食や宿泊など新分野の受け入れは、2023年秋以降から開始されています。
特定技能の在留資格は拡大されますか?
特定技能の在留資格は現在、特定技能1号と2号の2つのみで、在留資格の種類が増える予定はありません。しかし、これらの在留資格が適用される分野は拡大される可能性があります。
特定技能2号の業種拡大により外国人雇用がより身近に
特定技能2号の業種拡大は、外国人雇用をおこなう企業に大きな影響を与えます。外国人労働者の受け入れを検討している方は、本記事の内容を参考に雇用の準備を進めてみてください。
とはいえ「特定技能2号の外国人の採用活動が難しそう…」と感じている方もいるでしょう。
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監修者プロフィール
- 外食業に特化した求人媒体を運営する人材支援事業会社にて、約20年間に渡り首都圏版メディアの立ち上げや事業責任者として従事。専門学校・短大にて就職セミナー講師としても20校以上の活動経験あり。2019年に特定技能制度の施行開始にあたり、登録支援機関の立ち上げとして「日本料飲外国人雇用協会」に参画。現在は理事 兼 事務局長として活動を所掌している。
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