「外国人を雇用するメリット・デメリットはなんだろう?」
「採用手順を詳しく知りたい」
このような疑問をお持ちではないでしょうか。
人手不足に悩む企業にとって、外国人労働者の受け入れは有効な解決策のひとつです。ただし、外国人雇用をおこなうには、在留資格取得手続きの煩雑さや言語・文化の違いを受け入れる難しさなどの課題があるため、事前の理解が欠かせません。
そこで本記事では、外国人雇用のメリット・デメリットや採用手順を解説します。優秀な人材を採用するコツも紹介しているので、参考にして企業に貢献する人材を探してみてください。
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外国人雇用の現状
外国人雇用を検討する前に、まずは現状の理解を深めましょう。
- 企業が考えている外国人雇用の傾向
- 特定技能制度における外国人雇用の現状
順番に解説します。
1.企業が考えている外国人雇用の傾向
人手不足に悩む企業が増え、外国人雇用への関心が高まっています。
雇用に関する意識調査で「外国人採用が人手不足の問題解決に影響する」と回答した採用関係者の割合は80%以上に上ります。しかし、実際に外国人採用を積極的に実施している企業は、2割以下にとどまっているのが現状です。
出典:調査機関|株式会社グローバルトラストネットワークス「雇用に関する意識調査」
社内体制の整備の必要性や採用方法の不明確さといった課題から、行動に移せない企業も多いのではないでしょうか。
2.特定技能制度における外国人雇用の現状
特定技能制度とは、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく制度です。生産性の向上や国内の人権確保を主な目的として創設されました。
外食、飲食料品製造、宿泊、介護やビルクリーニング、建築、自動車整備といった全12分野に加え、2024年に自動車運送業、鉄道、林業、木材産業4分野が新たに追加され、合計16分野が対象になりました。
以下は、企業の特定技能雇用の受け入れ状況に関する調査です。8割ほどの企業がまだ特定技能外国人を雇用していないのがわかります。
調査項目 | 割合 |
---|---|
特定技能外国人を雇用している | 20.4% |
特定技能外国人を雇用していない | 78.1% |
無回答 | 1.6% |
参考:日本・東京商工会議所「多様な人材の活躍に関する調査」
ただし「現在、特定技能外国人は雇用していないが受け入れに関心がある」と回答した企業は47.9%にも上るため、今後さらなる雇用拡大が見込まれるはずです。
外国人を採用するメリット
企業が外国人を採用するメリットは以下の5つです。
- 助成金を活用できる
- 若くて優秀な人材を確保できる
- 労働者不足を解消できる
- 新しい発想を取り入れられる
- 海外事業で活躍を期待できる
順番に見ていきましょう。
1.助成金を活用できる
外国人を雇用すると「人材確保等支援助成金」を申請できます。
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)とは外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して、翻訳機器導入費、専門スタッフの委託費などを含む経費の一部を助成するもの。一定の要件を満たすと最大72万円が支給されます。
参考:厚生労働省「外国人労働者を雇用する事業主の皆さまへ」
他にも、国籍を問わず条件に合致すれば申請できる「キャリアアップ助成金」や「人材開発支援助成金」なども活用可能です。
これらの助成金を有効的に活用すれば、外国人雇用にともなう経費を大きく抑えられます。
2.若くて優秀な人材を確保できる
外国人労働者全体でもっとも多い年齢層は20〜29歳です。若い世代は柔軟性が高く、異文化への適応力にも優れているため、企業に貢献する人材として期待できます。
参考:厚生労働省「在留資格別×年齢別にみた外国人労働者数の推移」
外国人労働者が日本での就労ビザを取得するために「試験に合格した実績」も見逃せないポイント。学習意欲・労働意欲の高さが伺えるため、優秀な人材を確保できる可能性が高いといえます。
3.労働者不足を解消できる
日本では少子高齢化にともない、労働人口の減少が深刻な問題となっています。
実際に人手不足を感じて求人募集をした企業のうち「募集しても、応募がない」と回答した割合は全体の6割以上です。以下のデータから、飲食サービス業や宿泊業、建築業、医療・福祉産業において人手不足の課題がとくに顕著であるのもわかります。
出典:厚生労働省「我が国を取り巻く人手不足等の現状」
外国人雇用は、人手不足の状況を打破する有効な施策のひとつになり得ます。
4.新しい発想を取り入れられる
外国人労働者を雇用すれば、新しい発想を取り入れるきっかけが生まれます。異なる文化・価値観をもっているため、従来の日本の慣習や考え方とは異なる視点を提供してくれるからです。
- 多様性を尊重した労働環境の改善
- 外国人向けの商品やサービスの開発
- グローバルな市場への対応力の向上
新しい風を組織に吹き込めば、企業が発展する後押しにつながります。
5.海外事業で活躍を期待できる
海外事業を展開する場合、外国人労働者は即戦力として活躍が期待できます。
- 母国の人脈を活かせるため
- 多言語を話せる労働者が多い傾向にあるため
- 日本での生活経験から異文化への適応力が高いため
グローバル展開を視野に入れている企業にとって、外国人労働者は大きな戦力になるでしょう。
外国人を採用するデメリット
外国人を採用するデメリットは、以下の3つです。
- 意思疎通がうまくできないこともある
- 文化や習慣の違いを受け入れる必要がある
- 外国人雇用の手続きを覚えなくてはいけない
デメリットに適切な対処をしながら雇用を進めていきましょう。
1.意思疎通がうまくできないこともある
言語や文化の違いから、外国人労働者と意思疎通がうまくできないこともあります。言いたいことが伝わらない環境はお互いにとってストレスです。
以下のような対策を取り入れると、コミュニケーションの問題が軽減できます。
- 日本語の学習支援
- 翻訳アプリや通訳機器の活用
- 多言語対応の資料や掲示物の作成
- 外国人雇用者の専門サポーターの配属
業務を円滑に進めるためにも、意思疎通がスムーズにおこなえる環境を整えましょう。
2.文化や習慣の違いを受け入れる必要がある
外国人労働者を採用する際は、文化や習慣の違いを受け入れる姿勢が求められます。理解が不十分だとストレスを感じるかもしれません。
- 時間に対する認識の違い
- 仕事に対する価値観の違い
- 人間関係における距離感の差
- お祈りやしきたりなど宗教上の慣習
このような文化・習慣の違いを受け入れるためには、企業全体での理解と協力が不可欠です。
3.外国人雇用の手続きを覚えなくてはいけない
外国人を雇用するには、以下のように覚えるべき手続きが多くあります。
手続き | 具体的な内容 |
---|---|
就労ビザの申請 | 在留資格の取得や更新に関する手続き |
雇用契約の締結 | 雇用条件や勤務形態に関する書面の作成と合意 |
社会保険の加入 | 健康保険、厚生年金保険、雇用保険などへの加入手続き |
これらの手続きは複雑で時間がかかるため、専門家に頼りましょう。人材紹介会社や行政書士、社会保険労務士などの支援を受けながら進めていくのがおすすめです。
外国人を雇用する5つのステップ
ここからは外国人雇用の手順を5ステップで解説します。
- 求人募集
- 在留資格・在留カードの確認
- 選考
- 雇用契約
- 入社準備
参考にしながら雇用手続きを進めてみてください。
ステップ1.求人募集
まずは、外国人労働者へ向けて求人募集をおこないましょう。募集方法は、大きく分けて以下の3つです。
- 求人サイトへの求人掲載
- 人材紹介会社からの紹介
- 大学や専門学校からの紹介
効率良く求める人材を募集したい場合は、人材紹介会社の活用がおすすめです。年齢層・保有スキル・日本語力などの応募条件にマッチする人材を紹介してくれます。
ステップ2.在留カード・在留資格の確認
採用したい人材が見つかったら、在留カード・在留資格を確認します。
- 在留カードとは
-
日本に3ヵ月以上滞在する外国人に交付される身分証明書のこと。不所持の場合は不法残留者とみなされます。
- 在留資格とは
-
外国人が日本に在留する間、一定の活動を行うことができること、または、一定の身分や地位を有する者として活動を行うことができることを示す、入管法上の法的な資格のことです。
2つの書類が揃っていなければ採用はできないため、あらかじめ確認しておきましょう。
ステップ3.選考
保有する在留カードや在留資格に問題がなければ、選考に移ります。外国人採用で大事なチェックポイントは以下のとおりです。
- 異文化適応力
- 日本語能力のレベル
- 専門分野の技術レベル
- 学校や人材紹介会社からの推薦状の内容
業務に影響のある文化や習慣の有無や長期的なキャリア志向なども確認しておきましょう。
ステップ4.雇用契約
選考を通過した候補者と雇用契約を結びます。
外国人雇用は、言語が異なるので意思疎通が図りづらい側面があります。そのため、どうしても誤解やトラブルが生じやすいです。あとから「聞いていなかった」「説明が不十分だった」といった問題を防ぐためにも、しっかりと契約書を交わしましょう。
また、相手が十分に理解したうえでサインできるよう、契約書は母国語で作成するのがおすすめです。外国人労働者が安心して契約できるため、長期的な勤務にもつながります。
ステップ5.入社準備
本契約を結んだら、外国人労働者が不便なく生活・勤務できるように入社準備をはじめます。
- 住居の確保
- 銀行口座の解説
- 事前研修の実施
- 各種書類の届出
- 渡航・引っ越しの準備
念入りに準備すれば外国人労働者が安心できて、ひいては定着率向上につながります。
優秀な外国人を採用するコツ
優秀な外国人を採用するコツを2つ解説します。
- 正当な給与・待遇を保証する
- 外国人雇用者とスムーズに対話できる人材を確保する
これらのポイントを押さえて、企業に貢献する人材を確保しましょう。
1.正当な給与・待遇を保証する
優秀な外国人を採用したいなら、正当な給与・待遇を保証するのが大切です。
明らかな低賃金・待遇の悪さでは、外国人からの応募が集まりません。また、労働環境が悪いと評判になれば、学校や人材紹介会社から優秀な人材を紹介してもらえなくなります。
外国人労働者を採用する際は、日本人と同様に「同一労働同一賃金制度」と「最低賃金法」を守りましょう。
- 同一労働同一賃金制度とは
-
同じ職場で同じ仕事をしている労働者に対して、同じ賃金の支払いを義務付けた制度のこと。
- 最低賃金法とは
-
すべての労働者に対して、法律で定められた最低賃金額以上の賃金支払いを義務付けた制度のこと
これらの法律に反すれば、企業が処罰の対象となります。
適正な給与・待遇の提示は、法律の遵守という観点からも重要です。
2.外国人雇用者とスムーズに対話できる人材を確保する
外国人雇用者とスムーズに対話できる人材を確保しておきましょう。密なコミュニケーションが取れてお互いの理解が深まり、優秀な外国人労働者の採用につながります。
- 求める人物像との適合性を判断しやすい
- 保有スキルや経験を具体的に深掘りできる
- 苦手な分野や課題が把握できミスマッチを減らせる
採用者の選定を適切におこなうためにも、外国人雇用者と卒なく会話ができるスタッフを用意しておきましょう。
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外国人雇用は5つの手順を踏めば実現できます。
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- 選考
- 雇用契約
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監修者プロフィール
- 外食業に特化した求人媒体を運営する人材支援事業会社にて、約20年間に渡り首都圏版メディアの立ち上げや事業責任者として従事。専門学校・短大にて就職セミナー講師としても20校以上の活動経験あり。2019年に特定技能制度の施行開始にあたり、登録支援機関の立ち上げとして「日本料飲外国人雇用協会」に参画。現在は理事 兼 事務局長として活動を所掌している。
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