「永住権を取得するには、どんな条件が必要なの?」
「申請方法や必要書類も知りたい」
このような疑問をお持ちの方も多いでしょう。
永住権を取得するには、10年以上日本に在留し、日本の法律を遵守した生活を送っていることや、経済的に独立できることを証明する必要があります。
また、必要な書類をすべて準備し、記入が必要な書類は不備なく正確に記載しなければなりません。
本記事では、永住権を取得する条件をわかりやすく解説します。申請方法や必要書類も紹介するので、記事を参考に永住権取得の手続きを進めてみてください。

この資料でわかること
- 外国人雇用時の関連法令の基本
- 在留資格の種類と特徴、手続きの一例
- 労働条件と雇用契約
- 外国人雇用のトラブル事例と対策 など
永住権とは

永住権とは、在留資格の制限がなく、外国人が特定の国に永住できる権利です。永住権を持つ外国人は、在留資格「永住者」を取得していることを意味します。
永住権を持つ者は就労制限がなく、幅広い職種・業種で働けるため、キャリアの選択肢が広がります。また、社会的信頼度も高まり、クレジットカードやローンの申請が通りやすいです。
日本に長く滞在し、安定した生活をしたい方は永住権の取得を検討する必要があります。
在留資格「永住者」と「配偶者等」の違い
在留資格の「永住者」と「配偶者等」はよく混同されがちです。
在留資格「配偶者等」は「日本人の配偶者等」と「永住者の配偶者等」の2種類あり、資格を取得できれば、結婚した日本人または日本の永住者と一緒に暮らせます。
それぞれの在留資格の特徴を以下の表にまとめました。
永住者 | 配偶者等(日本人の配偶者等・永住者の配偶者等) | |
---|---|---|
対象者 | 法務大臣が認めた者 | 日本人または永住者の配偶者や子ども |
在留資格 | 無期限 | 5年・3年・1年または6ヵ月 |
就労制限 | なし | なし |
配偶者が離婚・死別した場合 | 在留資格の変更は不要 | 在留資格の変更が必要 |
参考:出入国在留管理庁|在留資格一覧表
項目の違いを見てみると、永住者のほうが在留期間や規定において安定性が高いことがわかります。
永住権を取得する3つの条件

永住権を取得するには、審査基準として以下3つの条件が存在します。
- 素行が善良であること
- 経済的に独立できる資産や技術を持っていること
- 永住により日本国の利益につながると認められること
順番に解説するので、条件を満たしているかチェックしてみてください。
1.素行が善良であること
永住権取得における「善良な素行」とは、日本の法律を遵守し、社会的に非難されることのない生活を営んでいることを指します。
以下は、素行が悪いと判断される行為の例です。
- 日本の法律に反し、懲役や禁錮または罰金刑を受けた
- スピード違反や駐車違反などで複数回摘発された
- 資格外活動のアルバイトにおいてオーバーワークした
これらに該当する場合、不許可となる確率が高いです。
2.経済的に独立できる資産や技術を持っていること
永住権の取得条件には、外国人が日本で独立できる能力を持っているかも含まれます。
評価されるポイントは以下の2つです。
- 安定した職を確保するための、高い技術を持っているか
- 日本で自立した生活を送るための十分な収入を得ているか
保有する資産や技術に将来性が認められると、永住権取得の可能性が高まります。
なお、日本人・在留資格「永住者」「特別永住者」の配偶者または子どもは、1(善良な素行)と2(経済的独立)の条件を満たさなくても申請可能です。
また、難民認定や補完的保護対象者の認定などを受けている者は、2(経済的独立)の条件は該当しません。
参考:出入国在留管理庁|永住許可に関するガイドライン(令和6年11月18日改訂)
3.永住により日本国の利益につながると認められること
日本国の利益につながる条件は以下の4つです。
(ア)原則として引き続き10年以上日本に在留していること
(イ)罰金刑や懲役刑を受けておらず、公的義務を果たしていること
(ウ)現在持っている在留資格で最長の在留期限が定めらていること
(エ)公衆衛生上の観点から有害の恐れがないこと
※ ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、(1)及び(2)に適合することを要しない。また、難民の認定を受けている者、補完的保護対象者の認定を受けている者又は第三国定住難民の場合には、(2)に適合することを要しない。
参考:出入国在留管理庁|永住許可に関するガイドライン(令和6年11月18日改訂)
(ア)は、10年以上の期間でそのうち5年以上は、「技能実習」および「特定技能1号」を除く就労目的の在留資格または居住資格での滞在でなければいけません。
(イ)は、日本で法律違反をしていないほかに、納税や入管法で定められている届出の義務を怠っていないことです。
(ウ)は、保有している在留資格の在留期限を確認するとわかります。例えば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の在留期限は5年・3年・1年または3ヵ月の中から法務大臣の判断で決められますが、この場合の最長期限は5年です。
(エ)は、何らかの感染症にかかっていないことを指します。
【特例】10年在留しなくても申請できる永住権の条件
永住権における取得条件の1つに「10年以上日本に在留していること」がありますが、特例により10年以下でも申請できるケースがあります。
以下は特例に該当する対象者です。
- 日本人または在留資格「永住者」および「特別永住者」の配偶者の場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続かつ引き続き1年以上本邦に在留していること
- 日本人または在留資格「永住者」および「特別永住者」の配偶者の子どもで、1年以上本邦に在留していること
- 難民認定または補完的保護対象者の認定を受けたあと、5年以上継続して本邦に在留していること
- 特定分野(外交、社会、経済、文化等)で、日本への貢献が認められる者で、5年以上継続して本邦に在留していること
- 地域再生法に基づく活動において日本への貢献が認められる者で、3年以上継続して本邦に在留していること
参考:出入国在留管理庁|永住許可に関するガイドライン(令和6年11月18日改訂)
そのほかにも、高度専門職のポイント計算において、定められたポイントを満たした方も特例対象となります。
永住許可申請の方法

永住権を取得するには、後述する必要書類を出入国在留管理局に提出し、審査を受ける必要があります。
申請期間は、変更手続きの場合は、保有する在留資格の在留期間が満了する前までです。申請中に在留期間が経過してしまうのであれば、在留期限の更新手続きが別途必要です。
新たに取得する場合は、出生または、そのほかの事由発生後30日以内に申請しなければなりません。

永住許可申請には、手数料10,000円が発生します。
新たな在留カードを受け取る際に、収入印紙を準備して手数料を納付してください。
なお、永住許可申請には身元保証人が必要です。身元保証人の対象者は、日本に居住する日本人、永住者または特別永住者に限られます。
参考:出入国在留管理庁|永住許可申請
永住許可申請の必要書類


永住許可申請の必要書類は、在留資格の種類や身分・地位によって異なります。
例えば、申請者が日本人または永住者の配偶者の場合、必要書類は以下のとおりです。
- 永住許可申請書
- 写真(縦4cm×横3cm)
- 身分関係を証明する資料(戸籍謄本・婚姻証明書など)
- 申請人を含む家族全員の住民票
- 申請者または扶養する方の職業を証明する資料(在職証明書・営業許可書の写しなど)
- 過去3年分の申請者および扶養する方の所得・納税を証明する資料
参考:出入国在留管理庁|永住許可申請1



必要書類が不足していると申請できません。申請者は自分にはどの書類が必要か事前によく確認しておきましょう。
在留資格や身分・地位ごとの必要書類を知りたい方は、出入国在留管理庁で公開されている「就労資格の必要書類」「就労資格以外の必要書類」をご確認ください。
以下の記事では、永住許可申請書の書き方を記入例を交えて紹介しています。書き方に迷ったら記事を参考に作成してみてください。


永住権の取得は難しい?許可率を高めるポイント


永住権の取得は、日本に永住的な滞在を許可する重要な手続きのため、審査は厳しいと言われています。
以下は、2024年から過去5年の永住権の取得率をまとめた表です。
年 | 総数 | 許可 | 許可率 |
---|---|---|---|
2024年 | 55,906 | 36,766 | 66% |
2023年 | 50,986 | 33,470 | 66% |
2022年 | 58,927 | 37,992 | 64% |
2021年 | 64,149 | 36,691 | 57% |
2020年 | 57,570 | 29,747 | 52% |
出典:出入国在留管理庁|出入国管理統計統計表
年々取得率は高まってきているものの、3〜4割の方が不許可となっています。申請したからと言って必ず許可されるわけではないため、確実に許可を得るための準備や対策が必要です。
なお、永住許可申請をするのは原則外国人本人ですが、書類を完璧に集めたり、手続きの流れを覚えたりするのは困難です。



そのため、外国人労働者から永住権への資格変更についての相談があった場合、企業は外国人の書類の収集や作成をサポートしましょう。
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永住権の条件に関するよくある質問


最後に永住権の条件に関するよくある質問と回答をまとめます。
永住権を取得する際に年収の条件はありますか?
年収の明確な条件は定められていません。しかし、経済的な独立が求められるため、最低でも年収300万円以上が目安と言われています。
永住権の申請は自分でできますか?
原則、永住許可申請できるのは外国人本人です。
行政手続きにおける専門的な資格を保有する行政書士であれば、外国人本人に代わっての書類作成や窓口での申請が可能です。


永住権が取り消しになるケースを教えてください
以下は、永住権が取り消しになるケースです。
- 申請に虚偽が見つかった
- 重大な犯罪を犯した
- 税金や保険料を故意的に滞納している
素行の悪さが継続している場合、永住権が取り消される可能性が高いです。
永住権取得の条件を覚えてスムーズに手続きを進めよう


永住権の取得条件は「素行が善良であること」「経済的に自立していること」「国の利益につながること」の3点です。一見すると条件のハードルが高くないように見えます。
しかし、日本での永住的在留を認めるための在留資格なので審査は厳格で、約3〜4割の申請者が不許可となっているのが現状です。
本記事で紹介した条件の詳細や必要書類をよく確認し、万全の準備をして申請手続きを進めましょう。
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監修者プロフィール


- 一般社団法人 日本料飲外国人雇用協会 理事 兼 事務局長
- 外食業に特化した求人媒体を運営する人材支援事業会社にて、約20年間に渡り首都圏版メディアの立ち上げや事業責任者として従事。専門学校・短大にて就職セミナー講師としても20校以上の活動経験あり。2019年に特定技能制度の施行開始にあたり、登録支援機関の立ち上げとして「日本料飲外国人雇用協会」に参画。現在は理事 兼 事務局長として活動を所掌している。
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