「特定技能所属機関ってなに?企業が外国人を雇用するときに何をすればいいの?」
「登録支援機関との違いがいまいち分からない…」
このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
特定技能所属機関とは、特定技能外国人と雇用契約を結ぶ事業主のことです。特定技能所属機関に認められなければ、特定技能外国人を雇用できません。
登録支援機関に支援を委託せず特定所属機関になるには、労働法の遵守状況や受け入れ実績など一定の基準を満たし、出入国在留管理庁に申請・承認を受ける必要があります。
本記事では、特定技能所属機関の役割や認められる条件を詳しく解説しています。登録支援機関との違いを示したうえで、登録支援機関に外国人労働者の支援を委託するメリットも紹介しているので、参考にしてみてください。
特定技能所属機関とは「特定技能の外国人を受け入れる機関」を指す

特定技能所属機関とは、特定産業分野の受け入れ先となる事業主のことです。1号特定技能外国人の義務的支援や、任意的支援が求められます。
特定技能所属機関は以下の16分野に分かれ、分野ごとに5年間の受け入れ見込み数が決まっています。
分野 | 令和6年4月から5年間の受け入れ見込数 |
---|---|
介護 | 135,000 |
ビルクリーニング | 37,000 |
工業製品製造業 | 173,330 |
建設 | 80,000 |
造船・舶用工業 | 36,000 |
自動車整備 | 10,000 |
航空 | 4,400 |
宿泊 | 23,000 |
自動車運送業 | 24,500 |
鉄道 | 3,800 |
農業 | 78,000 |
漁業 | 17,000 |
飲食飲料製造業 | 139,000 |
外食業 | 53,000 |
林業 | 1,000 |
木材産業 | 5,000 |
出典:
出入国在留管理局|特定技能1号の各分野の仕事内容
出入国在留管理局|特定技能制度の受入れ見込数の再設定(令和6年3月29日閣議決定)
特定技能所属機関は日本の産業における人手不足を補うため、制度的な支援体制を整えたうえで、外国人労働者を受け入れる重要な役割を担っています。

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特定技能所属機関が満たす必要のある基準

特定技能外国人を自社支援で受け入れる企業は、外国人材が安心して働けるよう基準を満たす必要があります。
主な基準は以下のとおりです。
- 労働者雇用に関する法律を遵守している実績がある
- 外国人を雇用しサポートした実績がある
- 外国人が働きやすい体制を整える
- 欠格格事由に該当しない
- 1年以内に行方不明者を発生させていない
上記の基準すべてを満たすことが外国人材を受け入れる前提条件です。
それぞれの基準を解説していきます。
労働者雇用に関する法律を遵守している実績がある
特定技能所属機関の認定を受けるためには、法務省が定める要件を満たさなければなりません。
労働基準法をはじめ、雇用に関する基本的な法令を、日本人・外国人といった区別なく、すべての従業員に対して遵守してきた実績が必要です。
以下の法律を遵守している実績が重視されます。
- 出入国管理法令
- 労働関係法令
- 社会保険関係法令
- 租税関係法令
法律を遵守していることの証明として納税証明書などの必要書類を、在留資格申請時に出入国管理庁に提出し審査されます。
外国人を雇用しサポートした実績がある
自社で特定技能外国人を支援する特定技能所属機関になるためには、直近2年間に外国人材の受け入れや支援に関する経験が必要です。
支援経験は、以下のいずれかの基準を満たすことで認められます。
- 過去2年間に中長期滞在者の受け入れ実績があり、事業者ごとに1名以上の支援担当者を選任している
- 役員又は職員が過去2年間に中長期在留者の生活相談業務に従事し、事業者ごとに1名以上の支援担当者を選任している
- 1および2に該当するものと同程度の支援を適正に実施できると出入国在留管理庁長官が認める場合
出典:法務省|特定技能外国人受入れに関する運用要領
直近2年間で外国人を雇用しサポートした実績がなければ、自社単独で特定技能所属機関として外国人の受け入れができません。
外国人が働きやすい体制を整える
特定技能所属機関は、1号特定技能外国人を支援しなければいけないと定められています。任意的支援は支援が望ましいとされていますが、義務的支援は必ずおこなわなければいけません。
義務的支援には、以下の内容が含まれています。
- 事前ガイダンスの実施
- 出入国する際の送迎
- 住居確保・生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続等への同行
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(人員整理等の場合)
- 定期的な面談・行政機関への通報
出典:出入国在留管理庁|1号特定技能外国人支援・登録支援機関について
これらの義務的支援を適切に実施すれば、外国人材が日本での生活や仕事に円滑に適応できる環境が整います。
なお、支援計画と義務的支援は、登録支援機関への委託が可能です。登録支援機関とは、出入国在留管理庁から認定を受けた、特定技能外国人の支援を専門に行う機関です。

専門の方に任せれば、自社の業務に専念できるメリットがあります。
登録支援機関の役割や支援内容については以下の記事で詳しく解説しています。


欠格事由に該当しない
法令に違反し罰則などのペナルティを受けたり、事業に必要な許可を取り消される状況や行為に該当したりすることを「欠格事由」と呼びます。特定技能外国人を受け入れる機関として認められるためには、欠格事由に該当しない必要があります。
以下のいずれかに該当する事業者は、特定技能外国人材を受け入れることができません。
- 労働関連法令に違反する行為
- 技能実習認定の取り消し
- 暴力団排除の観点からの欠格事由
- 特定技能所属機関の行為能力・役員等の適格性に係る欠格事由
- 保証金の徴収・違約金契約等による欠格事由
出典:法務省|特定技能外国人受入れに関する運用要領
特定技能所属機関として外国人材を受け入れるためには、法律で定められた「欠格事由」のいずれにも該当しないことが必須条件です。
1年以内に行方不明者を発生させていない
特定技能所属機関は過去1年以内に、「企業の責めに帰すべき事由」により外国人を行方不明にさせてはいけません。受け入れ企業側の責任で外国人が行方不明になった場合、受け入れ体制は不十分だと判断されてしまうためです。
以下は「企業の責めに帰すべき事由」の具体例です。
- 雇用条件通りに賃金を支払わない
- 支援計画を実施しない
- 法律違反や基準に適合しない行為をおこなった
出典:法務省|特定技能外国人受入れに関する運用要領
外国人が失踪した場合は14日以内に届け出義務があり、手続きをおこなわないとペナルティが科される可能性があります。



行方不明者発生が影響するのは、特定技能雇用契約締結の直前1年間、または契約締結以降に発生した場合のみです。
特定技能所属機関は地域と連携した支援が求められる


令和6年3月の閣議決定で、外国人材を今後5年間で82万人受け入れると設定されました。
外国人材の支援計画作成・実施では、自治体が実施する多文化共生施策を踏まえ、自治体からの協力要請に応じる義務が生じ「協力確認書」の提出も必要となりました。
以下の支援を求められる可能性があります。
- アンケート調査やヒアリングの協力
- 防災訓練や防災対応などに関する案内
- 地域イベントへの参加
- 日本語教室の開催案内
日本国内では外国籍の住民が総人口の約2%を占めるほど増加しており、地域全体で多文化共生社会を実現するうえで、受け入れ機関と自治体、そして地域住民との連携を通じた支援の重要性は高まっています。
特定技能所属機関と登録支援機関の違い


特定技能制度における企業や団体の役割は、特定技能外国人を受け入れる機関と登録支援機関に分けられます。自社で上記の基準を満たすことが難しい場合は、登録支援機関への委託ができます。
特定技能所属機関と登録支援期間の違いは、以下のとおりです。
特定技能所属機関 | 登録支援機関 | |
---|---|---|
立場 | 特定技能外国人の雇用主 | 特定技能所属機関を支援する外部組織 |
役割 | 働く場の提供、支援の最終責任を負う | 義務的支援業務の代行やサポート |
支援の実施 | 自らおこなう | 委託された業務をおこなう |
特定技能所属機関は、外国人に対し法令で定められた支援の最終責任を負い、登録支援機関はそれを専門にサポートする専門組織です。
登録支援機関に外国人労働者の支援を委託する3つのメリット


生活オリエンテーションの実施や行政手続きのサポートなど、義務づけられている支援を自社だけでおこなうのは限界があります。サポートを委託すれば時間と労力を削減できます。
支援を委託するおもなメリットは、以下の3つです。
- 専門家の対応により法令違反のリスクが軽減される
- 自社の業務に専念できる
- 外国人とトラブルがあった際に対応してもらえる
外国人雇用の経験が少ない、外国人材に対応した言語を話せる社員がいない場合、登録支援機関への委託を検討すべきです。
以下の記事で、具体的なメリットを詳しく解説していきます。


専門家の対応により法令違反のリスクが軽減される
入管法・労働法規の専門家である登録支援機関は、複雑な特定技能の手続きや支援を正確に代行してくれます。受け入れ経験がない企業にとって、専門的な支援を受けることは不安を大きく軽減できるのがメリットです。
また、特定技能制度は2019年に開始された新しい制度であり、今後も内容が変わる可能性があります。
知らずに法律違反を起こすリスクも考えられるので、最新情報に精通した専門家に任せたほうが安心です。
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この資料でわかること
- 外国人雇用時の関連法令の基本
- 在留資格の種類と特徴、手続きの一例
- 労働条件と雇用契約
- 外国人雇用のトラブル事例と対策 など
自社の業務に専念できる
義務的支援だけでも10項目あり、特定技能外国人への支援内容は多岐にわたります。さまざまな支援を自社でおこなうためには、社員教育や支援体制の構築など多大な時間と労力が必要です。
しかし、登録支援機関に委託すれば、専門家が必要な支援を代行してくれます。人的・時間的リソースの節約になり、本来の業務に専念できるのも委託のメリットです。
義務付けられている外国人受け入れ状況等の各種報告書の提出も、委託すれば登録支援機関のサポートが受けられます。
外国人とトラブルがあった際に対応してもらえる
日本人でも日本語を難しいと感じる場面はあり、日本語が未熟な外国人は細かなニュアンスまで理解するのは難しいです。また、雇用契約書などは専門用語が多く、誤解がトラブルに発展するケースも少なくありません。
登録支援機関には母国語通訳を行える体制があるため、トラブルが起こったときでも外国人が理解できるよう助言や対応をしてくれます。
第三者の視点からのアドバイスは、問題の早期解決につながります。



特定技能所属機関にも、外国人材にとっても大きな安心感につながります。


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特定技能所属機関は雇用主として、外国人労働者への支援責任を負います。登録支援機関に委託する選択肢もあるため、自社の体制やリソースに応じて判断が必要です。
本記事を参考に、適切な支援方法を検討してみてください。
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監修者プロフィール


- 一般社団法人 日本料飲外国人雇用協会 理事 兼 事務局長
- 外食業に特化した求人媒体を運営する人材支援事業会社にて、約20年間に渡り首都圏版メディアの立ち上げや事業責任者として従事。専門学校・短大にて就職セミナー講師としても20校以上の活動経験あり。2019年に特定技能制度の施行開始にあたり、登録支援機関の立ち上げとして「日本料飲外国人雇用協会」に参画。現在は理事 兼 事務局長として活動を所掌している。
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