2024.07.25

【お客様の声】12年連続ミシュラン星獲得の日本料理の名店!外国人雇用のきっかけは「若者支援」への強い想い(株式会社 味吉兆様)

企業インタビュー

#外食#韓国
【Customer Profile】
株式会社味𠮷兆 ぶんぶ庵
大阪本町の中心にありながら、数寄屋建築と自然の庭との融合による空間美を創り、日本独自の美を認識できる料亭。12年連続ミシュラン星を獲得し、国内外からお客様が訪れる日本料理の名店。

今回は、12年連続ミシュラン星を獲得している味吉兆 ぶんぶ庵」の料理長 中谷様にお話を伺いました!

──特定技能人材の雇用を始めた背景を教えてください。

外国人の受け入れを始めた元々のきっかけは、海外の学生さんから「日本料理を学びたい」という声を多くいただいたことです。中には海外から熱心なお手紙やメールを送ってくれた方もいました。我々としても日本料理を学びたいという若者を支援したいという想いは強かったのですが、当時はまだ特定技能という制度がなく、入国管理局や弁護士の先生に相談をしながら、できる限りの支援で日本料理を教えていました。その後、彼らはそれぞれ帰国したり、独立を叶えましたが、我々としては変わらず、若者の力になりたいという想いは持ち続けていました。

その後、2019年に特定技能制度が施行され、社員として雇用できるようになったのをきっかけに、正社員として外国人雇用を開始しました。そして今では、大阪の辻調理師専門学校を卒業生として入社した韓国出身のスタッフが活躍してくれています。

──海外出身の学生を新卒で採用することに不安はなかったでしょうか。

特定技能制度が開始した当時、人手が不足していたので若者の採用は積極的に考えていました。その中で外国人を採用することに、特に不安はなかったです。最初は誰しもが出来なくて当たり前で、これは日本人でも外国人でも一緒なので1から教えるつもりでいました
実際に、日本の専門学校で基本的な知識は身についていましたし、入社後もこちらが予想外の苦労をすることは一切なかったですね。また、多くの場合が在学中にアルバイトで来てくれているので、それもあってお互いに大きなギャップなく入社できていると思います。

──特定技能人材を雇用して「良かったこと」「困ったこと」を教えてください。

「良かったこと」は日本人を雇用するのと大差なく、一人の立派な人員として働いてもらえることです。雇用条件も同様ですし、日本語レベルも、「特定技能1号」の取得者はN4以上が対象となっていますし、当社に入社してくれた社員は、日本の専門学校を出ているので、会話も全く問題ないです。いい意味で「外国人だから」と気を使ったり、特別気にしないといけないということがないんですよね。本当に日本人と変わりなく、いち社員として接しています。
「困ったこと」はですね……これは本当に特にないんですよね。先ほども申したとおり、日本語も堪能でコミュニケーションも問題なく、本当によく働いてくれています。過去に自社支援で外国人を雇用した際は、入国管理局への手続きや書類の作成など本当に大変だったのですが、今は料飲協会さんにサポートしてもらっているので、そういった事務的な負担も今はなく大変助かっています。

──外国人社員の実際のお仕事内容を教えてください。

韓国出身スタッフのイさんがちょうど3年目を迎えました。彼女は本当に真面目にコツコツと頑張ってくれていて、今は揚げ物や焼き物のセクションをメインに、果物の仕込みなどもやってもらっています。最近では徐々にですが、魚料理も教えています。日本料理の世界では、魚に触れるには長い年月が必要とされているのですが、特定技能1号では上限が5年と決まっているので、もちろん本人が望んで2号に切り替えればもっと働き続けられるのですが、一旦はこの5年間で最大限の経験をしてもらいたいと思い、魚料理も少しずつ教え始めています。

イさんは持ち前の性格がとても明るいので、わからないことや困ったことも溜め込まずに、自ら聞いてくれるのも助かっています。近年インバウンドが増えて、特にアジアのお客様が多いので、母国のお客様には通訳してメニューの案内をしてくれたりもしています。

韓国人のお客様が旅行で来られた際には、退店時にイさんがお見送りに出ていくと、韓国人が働いていることに驚かれ、同時に非常に喜んでくださいました。海外から日本料理を目当てに来店されて、その店で自分の国の若者が一流の料理人を目指して頑張っていると知るとやっぱりとても喜ばれるんですよね。つい2日前も、まさにこのケースがあって、スタッフと記念撮影までして帰られたお客様がいました。お客様の思い出の一つとして印象に残っていると思うとこちらも嬉しいですね。

入社3年目を迎えた韓国出身イさん(左)、料理長の中谷さん(右)

──外食業が特定技能2号の対象になったことをどのようにお考えですか。

人手不足の解消、労働力の確保において必要なことだと思うので、対象拡大は前向きな改訂だと捉えています。労働力がなくなってしまうと経済力も落ちてしまいますし、実際に当社で働いてくれているような、熱意のある外国人の若者は多いので、彼らのキャリアアップのためにも良いことだと思います。
先ほど紹介したイさんも2号の取得と、日本語試験のN1の取得を目指しています。2号試験のテキストは私も見たのですが、なかなか難しいんですよね。料理の知識はもちろんですが、経営の問題もあるので、普段の業務の中で、この辺りの知識も身につけられるようにサポートしたいと思っています。

──特定技能人材を活用した今後の展望についてお聞かせください。

日本では少子化と言われてもう何十年も経っていますが、今後ますます成り手は少なくなっていくので外国人の雇用は必要だと思います。ただ、我々としては、人材確保の目的だけではなく、日本が好きで、日本料理の世界に志をもつ若者の支援がしたいと思っています。それは日本人でも外国人でも同様です。なので、外国人の方で日本料理の料理人になりたいと夢を持っている人には、この特定技能制度を活用して受入れをし、一人でも多くの若者がライフワークを身につけられるよう支援していきたいと考えています。

 


 

株式会社味吉兆の中谷様、貴重なお話をありがとうございました!

 


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